たごさく 四季のたより
山和食品株式会社が店舗展開する、 四季を味わう「たごさく」、おこわの里「たもかみ」、釜揚げいなり「釜旬」、おむすび専門店「しゃれむすび」などの 情報やこだわり食材を紹介するブログです。
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ほんとうのお花見
 お花見の本来の目的は、田植の前に村でいちばん大きな桜の木の下に、
村人たちがつどい、花の咲き具合から、その年の米の出来を占い、
酒を酌み交わすというものであったようです。

 中国から伝わった梅は、貴族の花でしたが、桜はどこにでもある農村の木でした。
万葉集では、梅はハギに次いで多く詠まれ、百十八首を数えますが、桜の歌は数えるほどしかありません。
それが平安時代の古今集や新古今集になると逆転し、花といえば桜をさすようになりました。

 それは、農村の風習がいつのまにか貴族社会に伝わり、花のはかなさ、美しさに、
歌を詠む人が自分の運命を重ねるようになったせいでしょう。
室町時代から長い戦乱の世を経て、ようやく落ち着いた武家の世では、
桜の清楚な咲きぶり、散り際の美しさ、いさぎよさが、武士の鑑(かがみ)のように思われ、
人々に愛されたようです。

 しかし、ここで心に留めておきたいのは、この時代までの花見は、
大勢の人が群れて騒ぐといったものではなく、野山のあさみどりの中で、
霞か雲のような花をめでるようなものであったようです。

 現在のように、大勢の人があつまって、酒を飲んだり、歌を歌ったりする花見の発端は、
豊臣秀吉が、伏見の醍醐寺でおこなった「醍醐の花見」でした。
農民から太閤に出世した秀吉は、桜の花の咲き誇る醍醐寺に、
1300人の人を引き連れ、盛大な花見をおこないました。

 さらに江戸時代になると、八代将軍徳川吉宗は、享保5年(1720)に、
王子権現のそばにある飛鳥山に一挙に270本の桜の樹を植え、江戸市民の行楽の場をつくりました。
これが明治になっての上野寛永寺本堂の跡の上野公園の桜に受け継がれたようです。

 しかし、こうした花見場所の桜の散ったあとは、いちまつの寂しさがあります。
まるで祭りのあとのわびしさのようです。
 本来の桜とは、散ったあと何も残らないのではなく、
あたりの緑の中に余韻を残し、過ぎ行く春の情趣を奏でるものではないでしょうか。
 

浅緑花もひとつに霞みつつ おぼろにみゆる春の夜の月

 
 これは「更級日記」の作者菅原孝標(たかすえ)女(むすめ)が作った歌で、
新古今和歌集にも収められています。宮中の女官たちのあいだで、春と秋とどちらが好きかと問われて、
春が好きだと答えて詠んだ歌で、日記の中では多くの人に褒められたということですが、
この歌に詠まれた景色を見ると、なるほどなぁ、と思います。

 桜の花があたりの新緑に囲まれて、おりからの春のかげろうのなかで霞のように見える。
そして、空には潤んだ春の月が見える。
花見もこうしたもろもろの春の景色の中の調和の中で、しずかに行うべきものなのでしょう。

 昭和の最大の評論家であり、たいへんな桜好きであった小林秀雄さんは、
日本の桜の木がソメイヨシノばかりになってしまった、と歎いていましたが、
これは江戸時代の末期に江戸駒込在染井村の植木屋さんが作った
この新しい品種を悪いと言っているのではなく、この生育の早い、
十年ほどで花を咲かせる樹を一箇所に大量に植えて、
人工的な花見場を作った人間の心を歎いているのでしょう。

 桜の品種は350種類ぐらいあるそうですが、古来名木といわれる桜はみな、
あたりの野山との調和の中で美しく咲いています。

 今年は冬の寒さが厳しく、例年なら四月の初旬には満開になる桜も、
まだ蕾の樹が多いようですが、中旬には終わるでしょう。
しかし、花見はそこで終わるわけではありません。
美しい樹が多いといわれる東北地方の桜は四月の下旬に盛りを迎え、
弘前ではゴールデンウイークが花ざかりでしょう。北海道では五月が花の季節です。

 こうして北上する桜前線を追いながら、深まり行く新緑の中で、
散った花をしのび、あるいは咲く花を待つ。これが本当の花見ではないでしょうか?
これは、去った人を懐かしみ、あるいはあたらしい人と人との出会いを待つ心と同じであると思います。

最後に、山和食品株式会社はこうした春の心を、
お客様に精一杯味わっていただけるようなお弁当の提供を心掛けています。
皆様のご愛顧を心よりお願い申し上げます。

本当のお花見
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